「四旬節第3主日」(B年) 説教
2012年3月11日・加藤 英雄 師

 

今日は第一朗読でモーセの十戒が読まれました。神様の人への愛の思いを戒律として与えられたのです。今、もう一度心を尽くして十戒を読みます。
わたしは主、あなたの神。あなたたちの神、それ以上にわたしはあなたの神です。わたしとあなたは面と向かって話す、語り合う神です。あなたを導く神です。
奴隷の家から導き出した神:あなたたちをエジプトの国、奴隷の家から導き出した。もう、これからは何ものであっても、そのものの奴隷になってはいけない。人は人の奴隷となってはいけない。人は人を奴隷としてはいけない。
労働の奴隷、欲望の奴隷となってはいけない。
①わたしは神。あなたを生きる者とする神。
像を造ってはいけない:神を像として形造る。神の像を造る権力を持つ者がいる。神の力はその者の力となる。神の力を自分の力として強力な支配する力を持つ。自分のために像を造るのか。像を求めるという奴隷、像の奴隷となってはいけない。像を求め、神様が見えなくなっている。人を包む方、見えない方の思いのうちにいる事を忘れてはいけない。
熱情の神:ねたみの神と訳す事もある。自分を信じなさいと言う強い表現です。他のものに心を動かされず、自分だけのものになりなさい。わたしたちは神様のものになるのです。
②主の名をみだりに唱えてはならない:主の名によって自分の権力を保とうとしてはならない。主の名を使って自分の思いを実現しようとしてはならない。主、自らが語ります。主、自らが行います。
③安息日を心に留め、これを聖別せよ:安息日は神様の事だけを考えなさい。すべてが神様からの恵み。自分を囲むものはすべて神様からのもの。そして良い出来事、悪い出来事、すべての出来事が神様からのもの。善い出来事を喜び、悪い出来事をそのまま受け入れ、神様のみ言葉を聞きなさい。
安息日には働いてはならない。労働から解放される。男女の奴隷もこの日は労働から自由になるのです。
④あなたの父、母を敬え:父、母によって自分が育っていった。自分に必要なものは全部父、母によって与えられた。子を愛する父、母によって子が人を愛する事を知る。父、母によって心が与えられ、物が与えられる。与えられている喜びを知る。そして、父、母によって神様を知ります。父、母を敬わないではいられません。
⑤殺してはならない:「いのち」は神様のもの。人は他の人の「いのち」を奪う事は出来ない。
⑥姦淫してはならない:結婚生活を大切にする。家庭の共同体制を大切にする。欲求によってからだが動いてはならない。
⑦盗んではならない:奴隷→人が人を盗むのではないか。王が税を求める。民の物を自分のために盗むのではないか。 土地は神様から頂いた物。嗣業の土地。これを手放してはならない。人は他人の土地を奪ってはならない。一人の人に富が蓄積されないようになる。
(ヨベルの年)富んでいるあなたは不幸である。むしろ、貧しさを求めなさい。
⑧偽証してはならない:正式の席(裁判の席)で何のために嘘をつくのですか。何を守りたいのですか。
⑨⑩隣人の家を欲してはならない。隣人の妻、男女の奴隷、牛、ろばなど隣人のものを一切欲してはならない:他人の物、隣人の物を求めてはならない。隣人に対しては与える者になるのではないですか。わたしたちは隣人のために働く者です。自然のために働く者です。欲求のために生活するのではない。欲求から離れなさい。むしろ物を持たない生活をする。わたしたちは神様の奴隷です。欲求の奴隷になってはいけない。この掟には恵みに満たされた義務があります。十戒には人の生きる道が示されています。イエスの姿は神様のみ心です。
あなたにとって神様とは何ですか。あなたにとって神殿とは何ですか。
わたしたちはイエスに問われています。神殿とは神様と出会う場、神様と語り合う場ではないのですか。あなたは教会で神様と出会っていますか。イエスは神殿の境内をみました。イエスは縄で鞭を作り、羊や牛をすべて境内から追い出し、両耕人の金をまき散らし、その台を倒し、鳩を売る者たちに言われたのです。「このような物はここから運び出せ。わたしの父の家を商売の家としてはならない。」驚いたユダヤ人は言います。このような事を言うのは、このような事を行うのなら、その権威を見せてほしい。どのようなしるしを行うつもりですか。イエスは言います。「この神殿を壊してみよ。三日で建て直してみせる。」 本当の神殿が造られる。その時、神殿が神様と出会う場となる。この豪華な、物で飾られた神殿はいらない。壊してみよ。三日で新しい神殿に建て直してみせる。三日とはイエスが生け費の子羊として献さげられて、死ぬ、そして復活する時です。弟子たちはイエスの死、復活を経験した時、この出来事を思い起こし、心に刻んだのです。
イエスはカナの婚礼で最初のしるしを現されました。そしてエルサレムに上り、エルサレムの神殿をまことの神殿とすると宣言されたのです。新しい時代の到来の始まりです。
四旬節。十戒を何度も何度も読み返し、自分の信仰生活を見つめます。新しい神殿、イエスの「いのち」によって建てられた教会でイエスに会います。語り合います。



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