「三位一体の主日」(B年) 説教
  2012年7月3日・加藤 英雄師


 今日、三位一体を黙想します。入門講座で、わたしたちの神様の名前は何ですかと質問します。イエス・キリストですと答えが返って来ます。イエスは神様ですが、イエスは本名ではありません、というとみんな不思議な顔をします。本名は「父と子と聖霊」です。神様はお一方(ひとかた)です。しかし、イエスの弟子たちはイエスに神様の姿を見たのです。イエスはわたしたちと同じ人間です。しかし、イエスは人を超える方です。イエスに人の命を超える神様の命を見たのです。今も新しい命に生きる、今も生きておられるイエスと出会ったのです。弟子たちは言います。そして、パウロも証言します。わたしは神様、イエスに出会った。神様は父と子と聖霊。この三方(さんかた)がお一方である神様。

天の父はイエスをわたしたちの世に送られました。これ以上、人の我儘を勝手にさせておけない。わたしの思い、わたしの愛を人に知らせよう。わたしの命を人に送る。その名はイエス。イエスとは「主は救い」、「救いは主から」という意味です。そして、イエスはインマヌエル。インマヌエルとは神はわたしたちと共におられるという意味です。主と共にいることが救いとなる。主の道を歩む者が救いを見る。イエスは父の子。父のうちに語る。父の思いが業となる。
 ヨハネの福音書にこのように書かれています。フィリポ、こんなに長く一緒にいるのに、わたしが分かっていないのか。わたしを見たものは、父を見たのだ。…わたしが父の内におり、父がわたしの内におられることを、信じないのか。わたしがあなた方に言う言葉は、自分から話しているのではない。わたしの内におられる父が、その業を行っているのである(14・9~)。あなたがくださった栄光を、わたしは彼ら(弟子たち、人々)に与えました。わたしたちが一つであるように、彼らも一つになるためです(17・20~)。

イエスは父の子です。ゲッセマネでイエスは祈ります。血の汗を流しながら祈ります。父はイエスに杯を差し出されたのです。この杯を飲みなさい。イエスは言います。出来る事ならこの杯をわたしから取りのけてください。父は答えれらました。お前はわたしの子ではないか。父の思いを受け取ってほしい。

今迄、神様である父の姿は見えなかった。父は預言者を通して御言葉を人々に告げられていた。今、神様はご自身が語られ、業を示してくださっているのです。わたしたちは神様の愛を知った。お前たちのために命を懸ける。命を懸けられた愛を知った。イエスの姿を目の前に見た。

聖霊という神さまがおられます。父は働かれておられる。子も働きます。父は働かなかったら父ではない。子も働かなかったら子ではない。働く、これこそ聖霊の働きです。父の思い、愛は聖霊によって実現します。聖霊は父の思いをすべて受け取って、父として働きます。聖霊は父の道具ではありません。聖霊に内に父がおられます。子も聖霊によって神の力を示されます。聖霊は子の道具ではありません。子は聖霊によって父を知ります。父は聖霊によって子に思いを伝えます。聖霊がおられなければ何もできません。聖霊はつながりの力、聖霊は愛の力です。聖霊によって「いのち」は生きます。穏やかさ、温み、おおらかさは聖霊の恵みです。

天の父の思いが、子を通して、聖霊によって成し遂げられるのです。見える物、見えないもの、万物は子にゆだねられ、聖霊によって造られたのです。

聖霊のことをあまり考えて来ませんでした。動かなければただ枠の中にいるだけです。たとえば、平和を考える、平和のために祈る。しかし、平和が何であるか、平和がいかに大切であるか考える。そこから、あなたは平和をどのように求めますか。それを自分に問うのです。平和は理屈の中にあるのではありません。平和は望みの中にあるのではありません。働きます。平和につながって行く。平和のために人とつながって行く。自然とつながって行く。動くのです。動く力が聖霊です。神様の力である聖霊です。キリストの平和へ導かれる力です。

やっぱりよく分からない。疑う。疑いなさい。あなたは何を疑っているか、何を求めているかはっきりするのです。自分の何を捨てることが出来ないかをはっきりしたいのです。しかし、何があっても捨てられないものがある。イエスを捨てられない。
ガリラヤの山の上で疑う弟子たちがいた。イエスは疑っている弟子たちにも声をかけられます。近寄られます。それ以上に、十字架のイエスを捨てて弟子たちは逃げ出した。しかし、復活されたイエスは、鍵のかかった家に集まっている弟子たちのところに現れ、あなた方に平和があるようにと挨拶されたのです。
つながっている。どんな時も、喜びの時、また、どんな苦しい時でも、理解できなくてもイエスにつながっている。神様に感謝できますように。

神様の名は父と子と聖霊です。


   


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