「待降節第4主日」(A年)説教
2013年12月22日・加藤 英雄師


 

  アハズは苦境に立っていた。アハズはBC731にユダの王となった。弱冠20歳であった。そして、2年後、BC 733に北イスラエルとアラムが連合してユダを攻撃しようとしていたのです。
 アッシリアがパレスチナを攻撃しようとしている。北イスラエル(エフライム)とアラムが反アッシリア連合を組み、ユダに仲間に加わるよう呼びかけたのです。アハズは悩んだ。エジプトに頼ろうか、アッシリアに頼ろうか、それとも反アッシリアと結ぼうか。
 その日、主はアハズに言われる。信仰のうちに決断しなさい。深く陰府の方に、あるいは高く天の方に。深く陰府の方にと言うのは、エジプトに援助を求めるのか、アッシリアか、それともアラム・エフライム連合かと言うことです。それとも、高く天の方にしるしを求めるのか。
 アハズは言う。わたしは主に求めない。主を試すようなことはしない。主に頼み、この戦に負けてしまったら、わたしたちの信仰は傷つく。信仰は壊れてしまう。そのようなことは出来ない。そして、ついに、アハズはアッシリアに援軍を頼んでしまうのです。
 悩んでいるアハズに、主は言われる。お前がそのように弱腰ならば、わたしは自らお前たちにしるしを与える。  「おとめが身ごもって、男の子を産み その子をインマヌエルと呼ぶ。」
 アハズよ、お前は何を求めてアッシリアを選んだのか。独自にアラム・エフライム連合軍と戦うか、エジプトに頼るか、アッシリアに頼るか、何のための選択だったのか。
 信仰を守るための選択ではなかったのか。神の都、神殿への信仰を守るためだったのではなかったのか。お前が求めたのは、自分の王位の保全、国を滅ぼさないため、ユダの安全を確保するためだったのか。
 アハズよ、信仰において、自分を確かなものとしなさい。信仰によって選びなさい。アッシリアに援軍を求めた。敵を排除できた。しかし、アッシリアの神をエルサレムの祭壇に置く羽目に陥った。
 アハズよ、あなたの信仰は何だったのか。
 神である主は「インマヌエルである男の子を与える」と言われました。インマヌエルとは神は我々と共におられると言う意味です。神様に委ねなさい。どんなことが起こっても主を見つめなさい。主により頼むのです。
 イエス・キリストの誕生の次第は次のようであった。誕生と言いう言葉はギリシャ語でゲネシスです。ゲネシスは起源、発生を意味します。創世記をギリシャ語でゲネシスと言います。ヘブル語ではブレシット(初めに)。キリスト・イエスの誕生はこの世の出来事を超えた力のうちに起こった、神様からの出来事だと言いたいのです。キリストの誕生―これはキリストの起源です。マリアは身ごもった。聖霊によって身ごもった。キリストの起源は聖霊、神様の「いのち」の力が及んだのです。
 ヨセフは正しい人であった。正しいとは律法に忠実であったということでしょう。悪しきことを、考えない、行わない。正しい道を神様のうちに入る。苦しむ隣人を助ける。おおらかに生きる。
 マリアが身ごもったと聞いた。何があったのだ。父さん、母さんはマリアをほめていた。マリアはよく働く少女。神様を大切にする少女。静かな、強い少女。一緒にいると安心が生まれる少女。
  父さん、母さんは言う。マリアの目は清く、澄んでいる。神様を見つめる目だ。マリアは静かに話した。わたしは神様によって身ごもりました。これは神様の大きな恵みです。
 ヨセフは言います。これは律法を超えている。マリアは自分の信仰の道を歩めばいい。わたしは受け入れる事が出来ない。
 主の天使がヨセフに現れます。ダビデの子ヨセフ、恐れず妻マリアを迎え入れなさい。マリアの胎の子は聖霊によって宿ったのである。マリアは男の子を生む。その子をイエスと名付けなさい。イザヤの預言です。「見よ、おとめが身ごもって男の子を産む。その名はインマヌエルと呼ばれる。」
 ヨセフ、お前の神は律法の中にいるのか。本当の律法は生きておられる神様のみ心ではないか。今、神様のみ心はマリアとヨセフに働かれたのだ。神様のみ心を受け入れなさい。
 ヨセフはマリアを迎え入れた。
 イエスはヘブライ語でヨシュアです。ヨシュアは、モーセの後を継いで、カナンの地に入ったイスラエルの指導者。イスラエルはヨシュアによってイスラエルに入ったのです。今、イスラエルは新しい王ヨシュアを見るのです。このヨシュアが聖書の預言を行うのです。
 マリアはミリアム。モーセのお姉さんの名前と同じです。
 ミリアムの息子ヨシュアが神様を語るのです。文字に閉じ込められた律法の神ではなく、今、生きておられる神様を語るのです。


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