「年間第25主日」(A年)説教
2014年9月25日・加藤 英雄師


 

  神様は言われます。わたしの思い、わたしの道はあなたたちの思い、道とは異なる。わたしの思い、道はあなたたちをはるか高く超える。
神様は恵みとして困難、苦難、悲しみをお与えになるのです。
バビロン捕囚、そして解放がありました。 イスラエルの民はバビロンで生活している。何十年も生活している。一方、ペルシャ王キュロスが力をつけている。バビロニアは内紛に暮れている。イザヤは言います。神様はキュロスを捕囚民を解放するために派遣される。それを信じなさい。やっとバビロンでの生活になれた。キュロス王が侵攻してくる、バビロンが滅びる。我々の生活はまた混乱に陥るではないか。何が解放か。わたしたちは神様によって解放されるのです。神様の思いです。
 パウロの生涯を見ます。パウロはどんな困難、苦難、恐怖が襲っても、生涯キリストを宣べ伝える。それは、パウロはキリストに命を見ているからです。パウロは命を取られて、この世にいないはずのキリストに出会った。新しい命に生きている。キリストに神の命がある。キリストの姿に入る。キリストの道を歩く。わたしが宣教のために苦しんで、苦しんで生きることは幸い。神様はパウロを選ばれた。キリストを迫害する者、キリストのために命を献げなさい。神様の思いです。
 キリストがわたしたちのためにこの世に送られました。語る言葉のために、業のために、キリストは十字架にかけられました。命を奪われました。キリストによってまことの「いのち」を知る。神を知る。自然を知る。自分を知るのです。生きる喜びを知る。愛されていること、愛することを知るのです。キリストは神様。苦しまれた、人に命を取られた神様。「いのち」を与えられるほど人を愛された神様。 これこそ人の思いをはるかに超える神様の思い、神様の道ではないでしょうか。
わたしの名のために、家、兄弟、姉妹、父、母、子供、畑を捨てた者は皆、その百倍もの報いを受け、永遠の命を受け継ぐ。しかし、先にいる多くの者が後になり、後にいる多くの者が先になる。
そして、イエスは天の国を語られました。天の国はぶどう園に似ている。 ぶどう園の持ち主が労働者を雇うために夜明けに出かけます。ふと、山谷の出来事を思い浮かべました。朝早くから車が来て、人々を雇い、車に乗せて現場に連れて行く。 ぶどう園の一日の労働は、朝6時から始まり、夕6時に終わります。主人は6時に雇った人に、一日1デナリオンの約束でぶどう園に送ります。9時、12時、3時ごろと主人は町を歩きます。何もしないで立っている、仕事を探している人たちと賃金の約束をしてぶどう園に送ります。5時ごろに行って見ると、人々が立っている。こんな時間に何もしないで、なぜ立っているのかと聞くと、「誰も雇ってくれないのです。」と言う。わたしのぶどう園で働いておくれ。よかった、よかった。まだ働く時間がある。 終業の時になった。主人は監督に言った。労働をしてくれた者を集め、最後に来た者から始めて、最初に来たのものまで順番に賃金を払ってやりなさい。5時ごろ雇われた者が来て1デナリオンずつ受け取った。最初から働いていた者たちは、我々はもっと多くもらえるだろうと期待していた。しかし、彼らも1デナリオンずつであった。彼らは主人に不平を言った。あの最後の者たちは涼しい中で1時間しか働いていない。我々は暑い中、辛抱して夕6時まで働いたのだ。わたしたちとあの連中と同じにするのですか。
主人はにこっとしてその1人に答えた。友よ、あなたはよく働いてくれた。ありがとう。約束は1デナリオン。これで十分ではないですか。
朝6時から夕6時まで、休みの時間を入れても10時間11時間働いた。一方、夕5時頃雇われた人たちは涼しくなったところで働くことが出来た。労働者は働いた状況、暑かった、苦しかった、そして、働いた時間を見た。主人は働いた人を見た。生活、能力、心を見たのです。誰も雇ってくれない。失業の経験のある人は、年が高くなればなる程、力、能力がなければ、特殊技術がなければ、社員への道は本当に難しい。 その当時のイスラエルは失業者が多い社会だった。
5時の人は主人に感謝した。今日も食べることが出来ます。息子が言います。父ちゃんよかったね。誰も雇ってくれない。動作がゆっくりなのです。片方の足が不自由です。片方の手が不自由です。いいですよ。構いません。足を使わない仕事があります。手を使わない仕事があります。
自分のために仕事をするですか。愛が消えてしまっていませんか。隣人が見えなくなっていませんか。
わたしの名のために、自分の安心のために得た物、与えられた物をすべて捨てた者は皆、その百倍もの報いを受け、永遠の命を受け継ぐ。
神様の思い、神様から与えられている道です。
先にいる多くの者が後になり、後にいる多くの者が先になる。
     


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