「ラテラン教会の献堂」説教
2014年11月9日・加藤 英雄師


 

  エゼキエル書を読みます。 
わたしは神殿に連れ戻された。目の前に神殿を見た。神殿が動いている、働いている。神殿の中から、神殿を造られた方のみ心、力によって水が湧き出ている。神殿から出た水が流れている。水は川となり、海に入る。その川が流れて行くところでは、すべてのものが生き返る。その水によって「いのち」を取り戻す。川のほとり、その岸にはあらゆる果樹が大きくなり、葉が茂る。果樹は食用になり、葉は薬用となる。 生きた水は命を育てる。潤いを与える。水によって豊かさが生まれる。そして、水によって清くなる。 
ここを読んでイエスを思いました。あぁ、これこそイエスの出来事ではないか。
イエスは言われます。「渇いている人はだれでもわたしのところへ来て、飲みなさい。わたしを信じる者は……。その人のうちから生きた水が川となって流れ出るようになる。」(ヨハネ7・37-38) 「わたしが与える水を飲む者は決して渇くことがない。わたしが与える水はその人のうちで泉となり、永遠の命に至る水が湧き出る。(ヨハネ4・14) 
イエスは救いの泉です。(イザヤ12・3) 神殿の水は汚れた海に入って行く。イエスはご自分が汚れた海に入って行かれた。汚れた海は、実は、わたしたちの町ではないですか。

イエスは神の神殿。イエスは神様の場。町で、村でイエスは神を語る。イエスは病を癒す。悪霊を追い出す。死者が生き返る。イエスは神の力で働かれる方。イエスの姿の中に神様がおられる。

「過越祭が近づいたので、イエスはエルサレムに上って行かれた。」
イエスは弟子たちと共にエルサレムで過越祭を祝います。過越祭は新しい出発です。エジプトからイスラエルが脱出し、イスラエルに向かう旅に出た。生きる命への旅です。今、イエスはわたしたちに言われているのです。ミサは最後の晩餐。出発の時の食事です。イエスが新しい土地に向かい出発する時です。過越しの食事をしたわたしたちが、イエスと共に旅に出るのではないでしょうか。アブラハムが今いる自分たちの土地を離れ、神様の示された土地に出発した。モーセがエジプトからイスラエルを出発させた。
あなたは出発していますか。 イエス様、わたしたちはどこに向って歩んでいるのですか。
わたしの中に入りなさい。その時新しい世界が見える。「わたしに国はこの世に属していない。」「わたしが世に属していないように、彼らも世に属していないのです。(ヨハネ17・1~)

イエスは神殿に入った。そして、「異邦人の庭」というところで牛や羊や鳩を売っている者たちと、座って両替をしている者たちをご覧になった。イエスは縄で鞭を作り、その者たちを追い出し始めた。「わたしの父の家をこれから商売の家としてはならない。」 地方から巡礼に来た人たちが、いけにえをここで調達する。ローマのお金を神殿で使えるように両替をする。ユダヤ人たちは異邦人の庭で商売をしているのを悪いと思っていない。むしろ便利だと思っている。この男は何を思ってこのような事をするのか。ユダヤ人たちはイエスに言う。あなたがこんなことをするのには、するだけの権威のしるしを見せてほしい。イエスは答えて言われた。この神殿を、あなた方のこの神殿を壊しなさい。神様の神殿を三日で建て直す。あなたたちはこの神殿に神様を閉じ込めている。この神殿によって生きている神様に出会いなさい。あなた方は生きている神様を見ようともしない。
わたしたちに言われているのです。神殿を壊し続けなさい。(第Ⅱバチカン公会議は神殿を壊したのです。)

イエスは神殿です。イエスからいのちの水が流れています。いのちの水を飲みにイエスのところに行きなさい。飲んで飲んで、水におぼれなさい。あなたから命の水が流れるようになる。
そして、パウロははっきり言います。「神の神殿を壊すものがいれば、神はその人を滅ぼされるでしょう。神の神殿は聖なるものだからです。あなた方はその神殿なのです。」




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