「主の昇天」(B年)説教
2015年5月17日・加藤 英雄師


 

   イエスが昇天された。昇天:天に向かって昇ります。高く上がれば上がるほど、皆が見えるようになる。天に昇って、すべての人が見えるようになり、全世界の一人一人に声をかける。昇天は終わりではなく出発です。
また、イエスはわたしたちを離れ、去って行きます。弟子たちはイエスの姿を思い起こし、思い巡らします。
弟子たちはイエスと一緒の生活をしました。イエスの毎日が始まります。町に行きます。神殿に行きます。人々に出会います。人々に神様の思いを語ります。温かさを、平安を、喜びを語ります。父さんはいつも子供を見ているではないですか。父さんは悪い子供には特に心を注いでいます。わたしのところに戻って来てくれないかを、じっと待っているのです。
神様の憐みが業となって、病を癒します。悪霊を追い出します。イエスの毎日は神様からの愛を与える日々であったのです。
イエスを中心として、過越しの食事を祝いました。しかし、今年の過越しの食事はいつもと違う。厳しいイエスがいた。イエスはパンをとって、賛美の祈りを唱え、それを裂き、弟子たちに与えて言われました。これをとって食べなさい。これはわたしの体。そして、杯を取り、感謝の祈りを唱えて、弟子に渡して言われました。この杯から飲みなさい。これは、多くの人たちのために流されるわたしの血、新しい契約の血である。
弟子たちは今、知ったのです。イエスはこの過越しの食事で新しい出発を示された。わたしと共に新しいイスラエルに出発しよう。
食事が終わり、イエスはゲッセマネで祈りました。じきに、イエスを捕えようとする人々が来ました。その時、イスカリオテのユダがイエスを裏切ったことを知りました。イエスは捕えられ、引いて行かれました。真夜中でした。 裁判かけられました。ヘロデの屋敷に引いて行かれました。ピラトの館に引いて行かれました。そして、ついに、ピラトによって十字架の刑の判決を受けたのです。
イエスは鞭打たれました。兵士たちに囲まれ、拳で叩かれ、唾を吐きかけられ、嘲笑されました。茨の冠をかぶせられたイエスは、十字架を背負って、ゴルゴタの丘へ向かって歩かされました。
午前9時ごろイエスは十字架につけられました。午後3時ごろイエスは大声で叫ばれました。 「エリ、エリ、レマサバクタニ」 イエスは6時間十字架の上で苦しまれ、ついに息を引き取られました。 弟子たちはイエスが捕らえられた時、恐怖に陥り、十字架につけられると聞いた時、皆、イエスを捨て去り、逃げ去りました。
イエスが十字架の刑で死んだ。世を支配する人たち、そして、弟子たちは言います。イエスの出来事は終わってしまった。弟子たちは途方に暮れました。家に集まって一緒に祈り、イエスを偲んで語り合いました。日曜日、弟子たちが集まっている、鍵をかけた家にイエスが突然現れました。言われます。「あなた方に平和がありますように。」 弟子たちには言葉がありません。「わが主、わが神。」 弟子たちはイエスと出会った。
使徒たちはイエスに問います。主よ、あなたは新しい命に生きておられます。この世の命を超えるいのちを、今、わたしたちに示されています。新しい出発です。イスラエルのために国を建て直してくださるのはこの時ですか。
わたしたちは父のみ旨のまま働きます。父の定められた時期はわたしたちの知る所ではない。あなたがたは聖霊が注がれる。エルサレムばかりでなく、ユダとサマリア全土、また地の果てに至るまで、わたしの証人となりなさい。
イエスの証人となる。イエスの言葉、思い、慈しみを語る者となるのです。イエスがメシアであることを語る。神様の愛を語る。イエスの愛を語る。イエスの姿が人々の中に入る。イスラエルがそこから始まって行く。
昇天、イエスとまた、別れます。イエスの姿、地上の姿を、深く思い巡らします。天の国に昇られる。祝います。ますます、イエスの証人となります。天におられるイエスに包まれて、イエスの道を歩み続けて行きたいと思います。


戻る