「年間第14主日」(C年)説教
2016年7月3日・加藤 英雄師


 

   約60年、イスラエルは バビロンに捕囚されていた。今、イスラエルはエルサレムに戻ることが出来た。長い年月の捕囚生活、捕囚生活でイスラエルの人々は自分たちの生活を見つめた。自分たちの生活に神様はいなかった。神様を忘れていた。神様の声を聞かなかった。
あなたたちはどこに行くのか。あなたたちは自分たちだけの豊かさを求めている。あなたたちは土地を奪われ、バビロンに連れて行かれる。イスラエルはこの苦しみは神様の試練だと知った。悔い改めた。そして、今、神様はイスラエルをイスラエルに戻された。神様はこの新しい出発を喜ばれる。苦しみを与えられた神様が大きな喜びをお与えになった。イスラエルは叫ぶ。わたしたちは今、エルサレムに住んでいる。こんな大きな喜びはない。

先週、96歳のおばあちゃんが帰天されました。ご家族、親族の方々、みんなの笑顔で送りました。また、しみじみ思いました。親孝行したいときには親はなし。自分の子供の時のことを思い出しました。本当にわがままだった。ご飯を食べるのは当たり前。家に住むのは当たり前。貧しい家だったけれど、お菓子を買いたい。紙芝居を見たい。おこずかいをくれ。泣いてわがままを言った。なんで大学に行けないのだよ。親は子供のためにする。それが当たり前のように思っていた。毎日の生活に父、母への感謝がなかった。父、母に感謝するということを知らなかった。父、母の思いを聞こうとしなかった。自分の思いだけを見つめていた。バビロン捕囚を考えながら、家族の中にいつもわがままな自分がいた。わがままでも、なんでも家族じゃないか、そんな父、母にいまさらながら感謝するのです。父、母は子供が何かをしてあげると喜ぶ。でも、足りない、足りない。

わたしたちの若いころ、十代の青春のころ、本をたくさん読みました。電車の中で読んだ。夜遅くまで読んだ。文庫本をいつも持ち歩いていた。試験の最中でも、止まらなくて読んだ。試験の点が取れなくても仕方がないと思った。そして、知ったかぶりでよく友だちと人生論をした。絵の話をした、小説の話、現代詩の話をした。懐かしく思い出しています。ちょっと格好良く、偉そうに聞こえるかも知れません。本をたくさん読みました、でも、何一つ分かっていなかったのです。感情で読んだ。恥ずかしいのですが、ちょっとその世界を、その世界の上っ面を味わったような読み方です。

収穫は多いが、働き手が少ない。
人は心のつながりに飢えている、だから、その人たちに温かさを与えなさい。収穫は多いとは、求めている人が多いということではないかと思うのです。出会い、語り合う、多くの人と友となることが出来ます。そんな事ではないでしょうか。自分の悩みをとことん聞いてほしい。こんなわたしを受け入れてほしい。その人に友となってほしい。また、別な人は言います。語り会いたい。そんな時間があったらいい、そんな人と出会ったらいい。わたしたちのまわりでも収穫は多いように思います。静かに出会えるような人がいたらいい。ゆったりと話せる人がいたらいい。聞いてくれる人がいたらいい。批判、攻撃されたくない。そんな人がいたらいい。
働き手が少ない。 わたしが働き手になりますと言えたらいいと思うのです。
平和を語りなさい。平和とは武力衝突がない事だけではありません。興奮して、口論になり喧嘩をしないことだけが平和ではありません。平和は持っているものを与えることです。みんなが与える人になったら、与える心を持ったら争いは起きません。

だいぶ前ですが、日本の経済がますます強くなっていった時がありました。サラリーマンは毎日、連日残業です。給料も上がって行く。会社がアジアに進出する。あるアジアの国に公害規制の装置をつけない工場を建設させるようなことが、密かにニュースに流れる。ある神学生が神父さんに聞きました。その神父さんは東ヨーロッパからの神父さんです。日本経済は間違っています。
ただ、お金のために働いている。毎日のひどい残業、仕事に追われている。少しも余裕のない生活を送っているのです。その神父さんは言いました。お金を持っていることは善い事です。貧しくない。生活できることをもっと感謝しなければいけません。持っていることをただ、喜ぶのではなく、その使い方を考えなさい。大きな金銭の力で大きな恵みを与えることが出来ます。みんなが大学に行くことが出来るようになっている。知識、経験によって、人のために働くことが出来る。
大学で勉強する、自分のためによい給料をもらうためではなく、人のためにもっとよく働くことが出来るのです。それを考えたらいい。
あぁ、そうだ。善い事を見つめながら働く、勉強するのです。そんなことを思ってもみなかった。

平和を語る。自分が思いやりのある人、やさし人になったらいい。理屈っぽい人はだめのようです。喜びを喜べる人になったらいい。何よりも聞く人になったらいいと思います。

イエスは言われます。行きなさい。わたしはあなた方を遣わす。
はい、行きます、と答えたいと思います。


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