「復活節第5主日」(A年)説教
2014年5月18日・加藤 英雄師


 

  過越しの食事が始まっている。皆が席についている。イエスはこの世から父のもとに移るご自分の時が来たことを悟り、弟子たちを愛し、この上なく愛し抜かれた。イエスは食事の席から立ち上がり、上着を脱いで、手拭いを腰に巻かれた。たらいに水を汲んで弟子たちの足を洗い始めた。
イエスは言われます。子たちよ、今しばらく、わたしはあなた方と共にいる。あなた方はわたしを捜すだろう。わたしが行くところにあなた方は来ることは出来ない。イエス様は静かに、力強く語っている。弟子たちはイエスの緊張を受け取っている。 主よ、どこに行かれるのですか。 わたしの行くところに、あなたは今、ついて来ることは出来ない。 なぜ、今ついて行けないのですか。あなたのためなら命を捨てます。 動揺してはいけない。心を騒がせるな。これから起こる出来事は神様のみ旨、み心である。どのような事が起こっても、神の思いを信じ、わたしをも信じなさい。あなた方を放っておくことはしない。 わたしはあなたがたから離れていなくなる。わたしの父の家には住むところがたくさんある。わたしはあなた方の部屋を用意しに、父の家に行きます。戻ってきたら、あなたがたをわたしのもとに迎える。わたしのいるところにあなたがたもいることになる。
トマスは言う。イエス様、おっしゃっていることがよく分かりません。どこに行かれるのですか。 わたしは道であり、真理であり、命です。わたしを通って父のもとに行くのです。あなた方はわたしを知っている、わたしの父をも知ることになる。いや、あなた方は既に父を見ている。
フィリポが言います。主よ、わたしたちに御父をお示しください。 フィリポ、こんなに長い間一緒にいるのに、わたしが分かっていないのか。わたしを見た者は、父を見たのだ。わたしが父の内におり、父がわたしの内におられると、わたしが言うのを信じなさい。
イエスは言われます。わたしは道、真理、命。
 わたしは道。イエスは「み言葉」です。「み言葉」は道。み言葉を聞いていますか。イエスの言葉を心に受けとめていますか。イエスの言葉はイエスの思い。心に刻まれた言葉が、イエスの思いが体を動かす。み言葉を聞いて、イエスの思いのうちに歩き始める。歩きなさい。自然と出会い、人と出会いなさい。
 み言葉は真理。み言葉は全体です。全体が動いている。動いている…生きている。つながっている。み言葉は愛。神様の思いのうちに動いている―真理。
 み言葉は命。み言葉と共にいる。み言葉のうちに入る。平安が生まれる。平安を楽しむ、喜ぶ。それが救い。み言葉を聞いて、つながり、生きる命を味わう。み言葉を心に刻み、働く。それが命。
ペトロは主イエスの出来事を思い巡らしながら言います。イエスは尊い、生きた石。人々はイエスを捨てた。イエスは神様の姿だった。言葉に、業に力があった。イエスがエルサレムに入った時、わたしたちはイエスが万軍の主の力によって王になると思った。イエスを捕えようとする者を神の力で追い払うと思っていた。しかし、イエスは弱い者だった。捕えられ、痛めつけられ、十字架につけられ、命を奪われた。エルサレムでこの石、イエスは捨てられた。しかし、エルサレムに置かれた石はあなた方を決して失望させない、と神様は言われていた。わたしたちは石を信じていなかったのか。わたしたちもイエスのもとから逃げ去った。しかし、イエスは神様から選ばれた人。皆が捨てた石は家の大切な石だった。この石は神様の命の内にあった。わたしたちはこの方が死を超えて、死者の中から復活された「いのち」を見た。
捨てられた石。捨てた石。神様のまことはこの石にあった。
イエスはまことの神。イエスはまことの人。
神に感謝。


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