「年間第16主日」(C年)説教
2016年7月17日・加藤 英雄師


 

 わたくしたちは旅人です。生きている、それは旅をしているのですと言われます。生まれる。家庭で育ってゆく。家庭を離れて、自分が家庭を造る。そして、神様に呼ばれる。わたしたちは時間の中で生きている。神様から命を注がれ、歩き始める。ふと、神様に呼ばれ、神様のもとに帰って行く。生活は人との出会い、自然との出会いではないでしょうか。

たくさんの人と出会います。自然の豊かさと出会います。出会いが喜びです。
イエスの生涯は宣教の旅です。ある日、ベタニアに住むマルタ、マリアの家を訪問しました。

「おもてなし」。マルタのおもてなしはお茶、お菓子。お菓子は自分で作るのです。たくさん作る。マルタのおもてなしは忙しい。マリアはじっとイエスの前に座っていたのです。おもてなしとは持っているものでお客さんを歓迎することです。マリアのおもてなしは見えないもの、イエスへの思いでした。  イエスは言う。マリアのおもてなしの方が快かった。

「出会い」、出会いの心がおもてなしではないでしょうか。

「おもてなし」とは何かを考えてみましょう。
遠いところに住む人と友達のようにメールでやり取りする。そんな若い人が多いと聞きました。
ある時、神父さん助けてくださいと25,6歳の女の人から電話がありました。信徒です。聞きますと、彼女は福岡の人とメールの通信をしているのです。その内容は、驚いてはいけない、一緒の死のうという結論になっているのです。そして、その人が東京に来ることになった。わたしは死にたくない、一緒に死ぬなんてそんなことはできないよと断ったのですが、聞いてもらえなくて、その人はこの日に来るのです。
よく聞いてみると、その少年は19歳。去年、一度、東京に来て、会いました。一緒に死のうと決心して来たのだけれど、少年の心が折れて、帰って行ったのです。どこの泊まったと聞くと、公園で寝袋で寝たと言います。今年は本当に死ぬ決心をしたと言う。わたしは風邪をひいて家から出られないことにします。上手に断ってほしい。
新宿でその少年と会いました。わたしは方向音痴ですが、運よく新宿で会えたのです。彼女は風邪を引いて来られない。お腹すいてないか。食事をしよう。食事が終わり、俺のところに泊まれよと言って、教会についたのです。
何も言わず、およそ一週間、教会に寝泊まりしました。父さんは公務員。静かな生活。アルバイトをしているが、つまらない。生活にしていない。

5日目、6日目になると、ミサを覗くようになりました。パソコンを遣うようになりました。そして、一週間たった日、帰りたいと申し出ました。
彼は言いました。こんなに親切にしてもらったのは初めてだ。自転車で帰りたいと言います。自転車を買い与え、食費の小遣いをあげ、緊急のためとお金を貸しました。
3,4年たって、彼が教会に訪ねてきました。きちんとした格好で来たのです。その少年だとは分からなかった。世話になった教会に行ったのですが、教会を代わられたというので、調べてここに来ました。そして、借りた金を持ってきたのです。お金は戻らないと思っていたので、感心しました。自衛隊に入ったそうです。
彼は教会に出会った。教会の人に出会った。親切に出会った。
神父さん、わたし老人ホームに入ることにしました。娘が、一緒に暮らそうと言ってくれるのだけれども、何やかやと娘も気を使うし、わたしもひとりで生活するのもいいかなと思って、思い切って老人ホームに入ることにしました。元気なおばあちゃんです。一年ぐらいたった時です。そのおばあちゃんが戻って来ました。老人ホームは眠っているホームだよと言います。老人同士話もしない。自分からは何もしない。何から何まで、看護師さんが全部付き添いの生活ですよ。生きている喜びが消えてしまう。だから娘のところで世話になることにしました。
ホームには何でもある。選ぶことがないほど、すべてが用意されている。「おもてなし」のためのものが全部そろっている。心が眠ってしまう。「おもてなし」は心の温かさではないですか。
京都に友だちがいます。35,6年まえ、青森に旅行に行きました。旅先で出会いました。商人宿とところがあるのだよと教えてくれました。年賀状のやりとりで、京都に行く時には声をかけます。久しぶりに京都へ旅行した時、久しぶりに会いました。食事をし、人の行かないお寺さんに連れて行ってもらったりしたのです。夕方になり、彼が自分の家に寄るように誘うのです。京都では家に誘われても、決して行ってはいけないと聞いていましたので、固く断ったのです。しかし、しつこく誘われます。もう、30年以上も付き合っているのだから、寄ってみようかなと思いました。家に入りました。息子さんが二人いて、別の部屋で大きな声で言うのです。誰か来ているみたいだよ。東京からのものだよ。人のうちに寄るなんて何を考えているのか。別の部屋でこれ見よがしに嫌味を言うのです。父親の彼は何も言わない。彼はお茶を入れてくれました。アルバムを見せてくれました。
しかし、嫌な思いで帰りました。「おもてなし」。心の家に入れてもらいたいですね。

今日は「出会い」と「おもてなし」を考えました。
心のうちに人と出会いたいと思います。
あなたのとげは何ですか。


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